1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。シネマトゥデイ
宇宙の夢を見た。
昔、宇宙の夢を見ていた。
宇宙の中の自分というか、もはや言葉にはできないが、
宇宙との一体感である。(変な宗教が言い出しそうだけど…)
自分がこの世のものなのか分からぬ
ふわふわした不安と言い知れぬ快にも似た不思議な感覚だった。
そして、その感覚は高校生頃から消え始め、
思い出そうとしても一向に思い出せない。
君の名は。の糸をめぐる描写を見て驚いた。
同じではないが、とても近い。
どんどん消えていく幼いころの感覚に
アクセスしてきたから、この映画には震えっぱなしだったのだ。
自分の過去を見つめる映画……。
ノスタルジックでもある今は行っても感じることができない
あのころに見た田舎と自然の風景。
光に対する心躍る感覚。
耳ざわりの良い音楽。
思春期の男女をどこか懐かしい過去の自分を見るように観察する自分。
初めての男女交際経て、快に浸った経験を持った後でもなお感じる懐かしさ。
そして、今まで付き合った異性の中で一番好きなのは誰なのか。
というところまで、理由もわからずはっきりと認識してしまう。
そんな映画だった。
ニュースを眺める傍観者の一感想として…。
ハッピーなのがとても良い。
人がなくなるということがどういうことなのか。
天災のニュースでそこにいた人がどうなったかを
想像できてしまう大人になってしまった。
だからこそ、町を、友だちを、ただただ好きな人を
天災から救いたいという気持ちに、
痛いほどの共感と感動を持った。
そこにまつわるハッピーと、
ラストのハッピーエンドに取れるシーンに、
その先を想い喧嘩しながらも仲良くやっていく二人を想像す。
ミュージックビデオのような流れる感覚も、
テンポの面で非常に軽快だ。
時代の風にのってヒットは出来上がる。
・宇宙的な人とのつながりの感覚
・自然の雄大さと神秘、神々しさ
・喧嘩しながらも大切にしあう2人
・全てを救いたかった天災
ここまでの自分の心つかんだ要素を見るに、
過去いろんな作品でやられていることばかりだ。
だが、組み合わせた糸の光はときに時代とマッチして
とんでもないものを作り出すのだ。
J-POP的ストーリー仕立てミュージックビデオに慣れ親しんだ時代。
アニメの視聴習慣が子どもとオタクだけのものでなくなった時代。
光の表現豊かに、より綺麗に描けるようになった時代。
いろんなことが重なって、
びっくりするくらいに
上記上げた要素に複数当てはまる人たちに
クリティカルヒットする物語が出来上がっている。
「時を超える感覚」や「自然の雄大さに震える感覚」、
「喧嘩するほど仲いい恋愛」「天災で人を救いたいと願う感覚」
が共有できない、
それと、
良い悪いではなく、時代と異なった感覚を持っている人たち
には全く響かない映画だったのだろうと推察される限り。
むすび。
書きたいことは書きつくした。
今ここで思うのが、
この映画館での体験が
時を経てどのように変化するかということだ。
忘れかけたあの時と、
この感想を書いている今の自分を
結びつける感覚であらんことを、
ただ、願う。